内部収益率で投資評価

普通は将来の投資計画を評価するものだけど過去の投資成績の評価にも使える。

よく見る形

$$ C_0+\frac{C_1}{1+r}+\frac{C_2}{(1+r)^2}+\frac{C_3}{(1+r)^3}+\cdots+\frac{C_n}{(1+r)^n} = 0 $$

C0は初期投資額(符号はマイナス)、Cnは期間nでのキャッシュフロー。rが内部収益率。

この形だと少し見通しが悪いので、両辺に(1+r)^nをかける。

$$ C_0(1+r)^n+C_1(1+r)^{n-1}+C_2(1+r)^{n-2}+C_3(1+r)^{n-3}+\cdots+C_n = 0 $$

式の左から右に向かって時間が流れていると考えると、C0は投資を始めて最初のキャッシュフロー、その後のC1, C2などは それに続くキャッシュフローとなる。積立投資なら毎月の入金額(キャッシュアウト)と考えればよい。 つまり符号はマイナスとなる。Cnは例えば今日現在の評価額、と考えればよい。株式なら評価額がマイナスになることはないので必ずプラスになる(キャッシュイン)。

さらにCnを右辺に移し、左辺のCnの符号は基本マイナスであることを踏まえて式を整理(とりあえず符号を無視)するとつぎのとおりになる。

$$ C_0(1+r)^n+C_1(1+r)^{n-1}+C_2(1+r)^{n-2}+C_3(1+r)^{n-3}+\cdots = C_n $$

ここまでくるとこの式の意味は明らかで、各期間で投資されたキャッシュが現在まで複利で増えた結果の合計額が、(等しく同じ利率rを経験したとみなして)現在の評価額と等しくなるようなrのことを内部収益率と呼んでいることになる。

さて、もし途中でお金を引き出した(キャッシュイン)したとする。するとそのときのCnは符号がプラスになるが、依然として(1+r)^nは掛かったままである。これはつまり、引き出したお金はたとえ実際にはタンス預金してようが、複利で運用された、つまり再投資されたとみなすことを意味している。これはrを過大に見積る原因になるので注意が必要である(キャッシュアウトによって左辺の合計金額が減っているにもかかわらず、同じ右辺Cnが達成されているということは、キャッシュアウトがないときに比べてrの値はより大きくなくてはならない。ただしそのrはキャッシュアウトの大きさにも影響するので注意)。

なお、エクセルにはMIRRといってキャッシュインの場合の利回りを別に設定して内部収益率を計算する機能がある模様。

キャッシュアウトが何度かあると、式を満たすrが複数あることがある。

さらに期間が等間隔でない場合は、XIRR関数が用意されていて、家計簿アプリのhledgerのroi関数はXIRRと同等の処理を行っている。